ヴァンパイアと人間
花畑の中でしゃがみ込む
蟻がせっせと食べ物を運んでいる
...ヴァンパイアにしてみればあたし達人間は食べ物、か...
恋愛するなら、ヴァンパイア同士が打倒だよね...
あたしはそれでも...人間を選ぶから...
絶対ヴァンパイアなんて嫌だ...
人間をただの食べ物、だなんて思ってるヴァンパイアにはなりたくない...
「それでも、アンタはヴァンパイアになる」
「え?」
立ち上がると、後ろには王様が仁王立ち
「王様!!」
雅樹君が慌てて駆け寄る
だけど、急に立ち止まる
「悪いが、邪魔はしないように」
「...能力でもお使いになりましたか?」
「アンタはヴァンパイアをどこまで知っている?」
「さぁ。どこまででしょう?」
王様は少しずつ距離を縮めていく
あたしは微動だにせずに王様を見据えている
その瞳は赤くて
...能力を使ってるから、か...
「ヴァンパイアになりたくない?そうは思っても心では迷ってるんだろ?」
「迷うわけありません。あなたが支配する世界に行くくらいなら、死にます」
「ほう...。胆が据わってるな。気に入った。ヴァンパイアになって翔琉と結婚しろ」
「お断りします」
ヴァンパイアにならなきゃ結婚出来ない?
付き合ってられない?
そのことに付き合いきれないわ