ヴァンパイアと人間
「お前、本当にヴァンパイアになってもいいのか?」
「だって...じゃないと...翔琉が死んじゃうんでしょ...?」
「......」
翔琉は何も言わない
本当なんだ...
嘘じゃ...ないんだ...
「だから...翔琉が死ぬなら...あたしが...」
「実桜は本当にヴァンパイアになりたいのか?」
なりたくない...
それが本心だけど...
「翔琉が死ぬのが1番嫌だ」
これが1番の本心だよ
「...俺は人間の実桜が好きだ。ヴァンパイアになる実桜なんて...見たくない」
そう言って、どこかへ消えてしまった翔琉
「翔琉...?」
何処に行ったの...?
何処に居るの...?
「いてて...バカ息子め...あんなふうに育てたつもりはなかったのだが...」
「すいません、王様。あたし、人間のままで居たいんです」
ペコッと頭を下げて、雅樹君に近付く
「雅樹君、もう帰るよ」
だけど反応はない
「アンタがヴァンパイアにならなきゃそいつは動かない」
「...そうですか」
そっと雅樹君の肩に触れる
「...うおっ...」
動くじゃん
「帰るよ」