xxxFORTUNE
「……じゃあ、ヒメはぼくを外の世界に連れ出してくれるの?」
恐る恐る口から零れた言葉に、あたしは一瞬静止。
もしかして、佐久間さんは本当は外に出たいのかもしれない。
人間は怖いけど、本当は誰かと一緒にいたいんじゃないかしら。
「佐久間さんさえ良ければ、明日外に出てみない?」
だから迷わず、誘ってみることにした。
「閉じ込めるんじゃなくて、黒猫を自由にしてあげるため探すついでに」
微笑みかけると、相手の顔に広がる満面の笑顔。
「うん!
ヒメと一緒なら、ちょっとだけ外に出たいかも」
もし佐久間さんに尻尾があったのなら、全力で振っていると思う。
今まで外に出られなかったのは、きっと少し勇気が足りなかっただけ。
その少しの勇気を、これからはあたしがあげよう。
「黒猫もだけど……まずは恋千くんよね」
「ぼくっ、洋館のどこかに隠れてないか探してみるよ」
呟きに反応して、笑顔のまま部屋を飛び出した彼に
「あたしも探す!」
逆に元気を分けてもらってしまった。