xxxFORTUNE
どうして今まで気づかなかったんだろう、と言わんばかりにキラキラの瞳が見つめてくる。
「そうよね、魔法があったわ!」
本当、どうして気づかなかったんだろう。
魔法で気配をたどればいいものを。
「いや、やめろ」
「え、どうして?」
やる気満々に、杖を出現させようとした勢いを愛琉さんが食い止める。
「おまえ、魔法を正しく使えねぇだろ。
失敗したら笑い事じゃ済まねぇぞ」
あの、えっと、愛琉さん?
ものすごーく、怖い顔よ?
「言わずとも、あなたは掃除でさえ魔法でできない」
「ちょっと誠、余計なこと言わないで!」
もしかして、魔法を失敗して部屋を散らかしてしまったこと、まだ怒ってる?
「すず、オレは別に止めないけど魔法使っていいの?
人間界で魔法は禁止じゃなかった?」
最後に里音が付け加えて言ったことに、あたしと佐久間さんが同時に息を呑んだ。
そうだった、魔法禁止。
というか、それ以前に魔女だってバレたらいけないのよね?
「禁止事項破ったら、ヒメは課題に合格できないの?」
不安げな声がすぐそばから。