xxxFORTUNE
CHAPTER〓4
★エシャルのお姫様
「姫様っ、勉強のじか───」
「えぇ、勉強の時間よね。
今日は物体を浮かせる魔法を学びたいの」
杖を片手に握ったまま本を開いて、重要なところをメモしていく。
物体を浮かせる魔法が上手くできれば、第一段階はクリア。
次に浮かせた物体を動かせるようになれば、きっと掃除や片付けが楽になるはずだわ。
「姫様どうしたのですか!?
まさか熱でも!?」
「やめてよ、熱なんてないわ」
騒ぎ立てる教育係──いわゆる家庭教師に、思わず耳を塞ぐ。
「では、あれだけ失敗を恐れて魔法に消極的だった姫様はどうしたのです!?」
そんな言葉を受け、ピシッと杖を教育係の鼻先へ向ける。
「消極的じゃないわ。
積極的だったけど失敗が多くて周りに迷惑がかかるから、魔法の練習を自制していただけよ」
まるであたしが魔法から逃げていたみたいな言い方じゃない。
あんまりだわ。
「よもや、人間界で何かあったと?」
「もうっ、そんなことはいいから早く勉強を教えてよ!」