xxxFORTUNE
★ずっといたい場所
数日後、再び人間界にやってくると外は晴天。
「先輩、おかえり」
庭で両手を広げ太陽の光を浴びていると、すぐ隣から恋千くんの声。
「た.ただいまっ」
突然話しかけられたから、びっくりしちゃった。
頭上でキイッと窓の開く音がして見上げると、佐久間さんの姿が。
窓を開けて景色を眺めているみたい。
「佐久間さーん!」
そこで名前を呼んでみると、こちらに気づいたらしく大きく振ってくれた手。
すぐに姿が見えなくなったかと思えば、玄関から飛び出してきた。
「ヒメおかえりぃぃぃ、寂しかったよおっ」
ぎゅっと抱きしめられて、思わず笑顔になる。
「ただいま、これからまたよろしくね」
迎えてくれたことが、単純に嬉しい。
あたしは、みんながいる人間界が大好き。
「寂しくてケータイに電話したのに、繋がらなかったから心配したんだっ」
嘆く佐久間さんに、そういえばとケータイを取り出す。
「エシャルだと、電源が入らないみたいなの」
持っていっても使えないんじゃ、意味がないわよね。
「不便だね」
と、今度は恋千くんが言った。