xxxFORTUNE
CHAPTER〓1
★ようこそ人間界へ
「ここで、暮らせばいいの……?」
魔法学校の校長先生に連れてこられた先で、あたしは紙を片手に首を傾げた。
校長先生は、リンス・アヴァルアという綺麗な女の人。
怒らせると、とっても怖いのだけれど。
「そうよ、さぁ行ってらっしゃい。
その紙は、内容をしっかり覚えたら燃やしなさいな」
指示をすると、アヴァルア校長先生は人差し指で宙に円を描く。
描かれた円が、キラキラと光って。
「くれぐれも、正体がバレないようにね」
光に包まれて笑った彼女は、煙のように跡形もなく姿を消した。
ここが、あたしの暮らす場所なのね……
あたしのお城より、ちょっと小さな洋館。
アヴァルア校長先生に言われた通り、覚えるために握っていた紙切れに視線を落とした。
―――――――
※課題内容
この洋館で家政婦として仕事をし、人間界のことを学ぶこと。
“幸せ”を見つけること。
人間界では、決して魔法を使わないこと。
人間界では、決して正体を明かさないこと。