xxxFORTUNE



だから結局、人間界が恋しくなったの。

対等の存在として扱ってくれる人間界が。


「あたしは、エシャルに帰りたくないって……思った。
つらい思いをしてるのは、あなただけじゃない」


訴えかけると、交わった視線から誠が先に目を逸らす。



「誠は、あたしみたいに弱くない。
……ちゃんと、ご両親と話し合って?」


最後に、少しだけ微笑みかける。

話していたら、あたしのほうが泣きそうになっちゃった。



「えへへっ、言いたかったのはそれだけ!」

泣きたいのを我慢して、バレないように明るく振る舞う。


立ち上がってから手の中に杖を出すと、再び誠と目が合った。



「話は終わりよ。
あたし、もう帰るわ。
みんな、誠が帰ってきてくれるの待ってるから」

小さく手を振って、出現した杖を高く上げる。

魔法陣を描いて呪文を唱えれば、見る見るうちに光に包まれて───









明かりのない真っ暗な部屋に独りぼっち。

本が散らばったままの自分の部屋に、無事移動していた。






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