xxxFORTUNE
★思い出を作ろうよ
「すず、魔法使うの上手くなったな」
誠が洋館を出て数日。
まだ帰ってこない。
きっと、もうすぐだわ。
誠なら、もうすぐ帰ってきてくれる。
この頃あたしは、すっかり魔法に慣れて失敗が少なくなっていた。
魔法を使って掃除をしてるあたしの頭を、里音が褒めて撫でてくれる。
「そんなもんに頼ってると、何にもできなくなんだぞ」
魔法が上達すればするほど、正反対に愛琉さんは毒を吐くのだけれど。
「大丈夫よ、最後はしっかり自分の手でやるもの。
全部を魔法で片付けてるわけじゃないわ」
そんな愛琉さんとあたしは、割と毎日口論になって。
といっても、わずかに文句が飛び交うだけのね。
だから他のみんなは、さして気にしてないみたい。
「おい下僕、そこの部屋綺麗にしたら庭掃除しろよ」
「う.うるさいわね!
言われなくてもやりますよーだっ」
本当、ここ最近愛琉さんが出会ったばかりの頃に戻ってる。
上から目線で人のことこき使って……
もしかして、誠がいないのが寂しいから八つ当たり?
それとも、あたしが魔法を使うのが嫌だから?