xxxFORTUNE
◇
「──ということでね、話を聞かせてほしいの」
ベッドに座って、あたしの言葉に耳を傾ける里音。
彼の横に座ったあたし。
「“幸せ”の正体か……そうだな」
「里音が幸せだなって思うのは、どんな時?」
「みんなが笑ってる時」
後ろ手をついて、遠くを見たまま即答される。
暖かな赤味のある照明が、優しい空間を作り出していた。
それはまるで、いつも優しい里音そのものみたいで。
「すずも、愛琉も恋千も、誠もホタルもみんな笑ってたら、オレは幸せ」
そう語る口調も、とっても穏やか。
「あたしたちのことばっかりで、自分のことは望まないの?」
覗き込むように彼を見つめると、一瞬だけ悲しそうな笑顔。
「…できれば弟にちゃんと謝りたい。
ずっと、謝れてないんだ」
あたしは、里音から自分の手元を見るように下を向く。
里音の弟。
新しい家庭があって、“家族”と一緒に暮らしている。
「弟の名前、なんていうの?」