xxxFORTUNE
★しあわせ運びます
「ねぇ佐久間さん、何かほしいものとかある?
できれば、お金のかからないもので」
「うーんとね、ヒメが作るハンバーグが食べたい」
「料理ね、任せてっ」
勢いよく佐久間さんの部屋を出て行く。
そして広い階段ですれ違った恋千くんを引き止める。
「恋千くん、何かほしいものある?
できれば、お金のかからないもので」
「いきなり、どうしたわけ」
「いいから答えて」
急な質問に少し悩んで、あたしの様子を窺うように目を向けてくる。
「えへへ、決まった?」
満面の笑みで返事を促すと、今度は目を逸らしたまま。
「すずに、ほっぺにキスしてもらいたい」
その言葉を聞いて、少しだけ考える。
それから、背伸びして恋千くんの頬に口付けた。
「はっ!?」
顔を真っ赤に染めて驚く恋千くんに、急いでるからと伝えて早足に下りた階段。
次いで、玄関から誰かが入ってくる音。
「ちょうどよかった。
ねぇ誠、ほしいものを教えて」