xxxFORTUNE
礼儀として、洋館の住人の名前を覚えること。
周囲に、迷惑をかけないように生活すること。
補足として、以下は住人様のお名前と年齢。
明峰 愛琉 (17)
篠井 誠 (17)
神 恋千 (16)
佐久間 蛍 (19)
小鳥遊 里音 (18)
年上には敬語を必ず使うこと。
あなたの人間界での名前は───
―――――――
「失礼ですが、そこを退いてもらえませんか。
通行の邪魔なのですが」
名前を覚えることに必死になっていると、突然背後から声をかけられた。
びっくりして振り返ると、メガネをかけた男の子が本を片手に見下ろしてくる。
ちょっと癖っ毛な真っ黒い髪。
見た感じ、どちらかと言えば優しそうな人だ。
「ご.ごめんなさいっ」
慌てて頭を下げて横にずれる。
恐る恐る顔をあげると、今度は
「存在がうぜぇんだよ」
ものすごく怖い顔。
あたしを舐め回すように見て、不機嫌そうに言った。