xxxFORTUNE
こっちは、ココアブラウンの長めの前髪を風になびかせて。
優しそうな人には、とてもじゃないけど見えない。
2人でお出かけしてたのかしら。
観察するように、洋館に入っていく2人を見る。
あれ………?
今、洋館に入ったよね?
じ.じゃあっ、あの人たちが住人のうちの2人なのね!
これからお世話になるのに、ちゃんと挨拶できてない。
どうしよう……っ!
混乱する中、紙をスカートのポケットに入れると急いで洋館の扉を叩いた。
◇
数分後、
「これから、ここで働かせていただく楼那すずです。
よろしくお願いします」
先程の2人を追いかけて頭を下げる。
人間界でのあたしの名前は、楼那(ロウナ)すず。
これから半年、この名前にお世話になるのね。
忘れないようにしなきゃ。
とびきりの笑顔を向けるけど、なぜか2人は笑ってくれない。
「あ.あのぅ……」