xxxFORTUNE
★魔法使いの転入生
───時は早いもので、とうとうこの日がやってきました。
「いい?
すずはオレたちより遅れて家を出るんだからな」
「わかってるわ」
「じゃあ、行ってきます」
あたしの頭を撫でると、里音が洋館を出て行く。
真似るように、他のみんなも順々に姿を消して。
「佐久間さん、本当に行かないの?」
たった1人、佐久間さんだけがあたしのそばで座っている。
理由は、登校拒否。
毎日家で留守番なんて、つまらなくないのかしら?
あたしは今日から人間界の学校の生徒になるらしい。
でも、そうなれば今日から、佐久間さんは広い洋館に独りきり。
今まではあたしが、ずっと洋館にいたけれど今後はそうもいかないし。
「学校は嫌いなんだ…人間がいっぱい…うぅぅ怖い」
だからと言って、無理矢理学校に行かせるのも気が引けるのよね。
「どうして、そんなに人間を怖がるの?」