xxxFORTUNE



「ヒメ、今日の夕飯は何?」


えぇ、そう。

だからね、テレビを見る時だけ、みんなが集まって。


「ヒメ、何か手伝うことある?」


普段、この時間は静かで。


「ヒーメっ」


静か、で………


「佐久間さん、お部屋に籠もるのはやめたの?」


例外で、なぜか今日は静まってはくれないみたい。

もしかしたら約束が果たされなかったことに、まだ納得していないのかも。



「うん、ヒメと喋りたいから来ちゃった」

そう言って笑う佐久間さんに、あたしは息を吐いて微笑んだ。


「そうね、約束は約束だもの。
料理をしながらでいいなら、お話しましょう」


結局のところ、いつも負けちゃうの。

佐久間さんって、すっごく純粋だと思う。

だからなのかな、こうやって突き放せなくなるのは。



「ねぇヒメ、学校楽しかった?」

あたしに質問するついでに外の世界にもっと興味を持ってもらえれば、きっと佐久間さんのためになる。



「もちろん、楽しかったわ!」






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