xxxFORTUNE
それから、そのまま近寄ってきて手を差し出される。
「はじめまして、すず。
話は聞いてたよ、よろしく」
わぁ、素敵!
ここへ来て、初めてまともな会話をした気がする!
「えぇ、どうぞよろしくお願いします!」
飛びつくように相手の手を両手で握って。
その瞬間、様子を見ていたもう1人が呆れたように口を開いた。
「あんた、バカなんじゃないの?」
「え?」
「俺の苗字はカミじゃなくて、“ジン”。
そいつの名前は、“タカナシ リオン”」
見事なまでに、上から目線な口調の訂正。
あれ、あたし間違えた?
「どうも、“タカナシ”です」
握手をしている小鳥遊さんに言われて、顔が一気に熱くなる。
「ご.ごめんなさい!」
あたしとしたことが、名前を間違えてしまうだなんて。
これじゃ、姫として恥ずかしいわ。
人間界の名前って、こんなに難しかったのね。