xxxFORTUNE
光の魔法で、救ってあげられたかもしれないのに。
こんなことなら、エシャルでもっと勉強しておくべきだったわ。
「ねぇ佐久間さん、人間が怖くなった理由は何だったの?」
原因が知りたくて、聞いていいか不安だったけど質問する。
愛琉さんは何か知ってるみたいな口ぶりだったけど、実際どうなんだろう。
「小さい頃………」
しばらくの沈黙後に、ぼそっと耳に届いた声。
静まったキッチンに、近づく足音。
「おい下僕、サボってんなら追い出すぞ」
ひょっこり現れた愛琉さんに注意をされて、話の続きは聞けなかった。
なんでこう、タイミング悪く出てくるのよ!
「追い出してもいいわよ。
ただ、そうなったら誰が料理をするのかしら?
誰が掃除をするのかしら?」
嫌味たっぷりに反抗してみせて、再び手を動かす。
と、文句を言い出した本人は無理矢理佐久間さんを自室に返すと一言。
「他人の事情に口出しすんな」
低い声で睨むように言い放って、彼もまた自室に戻ってしまったみたい。
意地悪、結局あたしには何も教えてくれないのね。