xxxFORTUNE
◇
起きた事件は、もう1つ。
学校から帰宅すると、ため息をついた恋千くんが迎えてくれた。
「どうしたの?」
ため息の理由が気になって聞いてみると、さらに深いため息が。
「やっと来ましたか。
あなたのせいで、困っているんです。
早く対処してください」
恋千くんの裏から現れた誠は、なんだかすごく疲れた表情。
促すように指差された先には、予想外の人物がティーカップ片手に優雅なひと時を過ごしていた。
部屋のあちこちに飾られた真っ赤な薔薇。
宮殿の一角であるかのような空間。
ふわふわと浮いたオルゴールが、優しいメロディーを奏でる。
「アヴァルア校長先生!?」
そこにいたのは言うまでもなく、あたしの通う魔法学校の校長先生で。
「あら、ベル。
お久しぶりね、元気だったかしら?」
久しぶりに呼ばれた本名に、妙な懐かしさが込み上げてくる。
「どうしたんですか!?
わざわざ人間界に来るなんて」
いきなりの再会に少し戸惑い、また驚きを隠せない。