xxxFORTUNE
「迷い込んだ者は、必ず人間(ひと)に災いをもたらす。
ベル、追加課題中は特別に3回だけ魔法を失敗せずに使えるよう呪(まじな)いをかけておくから」
「アヴァルア校長先生!?」
「無理はしないように、頼んだわね」
「あのっ───」
引き止めようとしたあたしの片手は、すっと宙をかく。
跡形もなく姿を消したアヴァルア校長先生。
咲き乱れていた真っ赤な薔薇も、一緒に消えて普段通りの部屋がここに残った。
追加課題……あたしが迷い込んだ者を捕まえなければいけないのね。
「面倒なことを押し付けられましたね」
ずっと隅に立って、黙っていた誠はすでに呆れ顔。
「けど、課題をクリアしないと先輩は立派な姫として自国に帰れないんだよね?」
恋千くんは複雑そうな顔で、こちらに視線を送ってきた。
「なら、仕方ないし俺は課題を手伝おうと思う。
少なくとも、先輩よりは情報通だし」
「恋千くん………」
「た・だ・し、見返りはもらうつもりだから、よろしくね?」
意地悪な笑顔で言われましても、あたしには何が何だかさっぱり。