xxxFORTUNE
◇
オレンジ色から漆黒へと変わり始めた空。
今の時間帯なら、部活動ということをしている人がいるはず。
まだ、学校には入れるわ。
急いで向かう先は、もちろん食堂。
ただ問題は、食堂の鍵が開いているかどうかで。
「はぁー‥、やっぱり開いてないか」
たどり着いたはいいものの、肝心の食堂へは入れない。
せっかく来たのに、これじゃあ無駄足じゃない。
食堂の扉の前をうろうろしていると、小さな足音が近づいてくるのがわかった。
「楼那さん、帰ったんじゃなかったの?」
「琴葉ちゃん!」
どうして、こんな時間にこんなところへ?
よく見ると、琴葉ちゃんの片手にはキラリと光る鍵。
「あぁ、これ?
私、お昼食べた時にケータイ忘れちゃったみたいで」
照れた笑みを浮かべて、琴葉ちゃんは扉の前に立つ。
話を聞いたところによると、忘れ物を取りに食堂へ来た。
そして、食堂に入るために職員室で鍵を借りてきて。