xxxFORTUNE
………と、いうことは
「こ.琴葉ちゃんっ、あたしも一緒に食堂入ってもいい?」
つまり、チャンス!
「うん、別にいいけど。
楼那さんも何か忘れたの?」
「え.えぇ、そうなのっ…えへへ」
嘘をつくって、すごく難しいわ。
きっと笑顔が引きつっていると思う。
ガチャリと音を立てて開いた扉の向こう側。
生徒で溢れかえる食堂も、誰もいないとこんなに広かったのね。
辺りをキョロキョロ観察しながら、琴葉ちゃんの後を追う。
「おかしいなー、ここに置いたはずなのに」
目的のテーブルまで行くと、困ったように言った琴葉ちゃん。
「───っ!」
その瞬間、また昼間と同じように足元から感じる気配。
「んー、ここにないなら仕方ないか」
そっと足元を見ようとした時、残念そうな声が響いたから慌てて上げた顔。
迷い込んだ者は、災いをもたらす。
だとすれば、琴葉ちゃんが今困っているのも災いの1つなんじゃないかしら?