xxxFORTUNE



………と、いうことは

「こ.琴葉ちゃんっ、あたしも一緒に食堂入ってもいい?」

つまり、チャンス!



「うん、別にいいけど。
楼那さんも何か忘れたの?」

「え.えぇ、そうなのっ…えへへ」


嘘をつくって、すごく難しいわ。

きっと笑顔が引きつっていると思う。



ガチャリと音を立てて開いた扉の向こう側。

生徒で溢れかえる食堂も、誰もいないとこんなに広かったのね。


辺りをキョロキョロ観察しながら、琴葉ちゃんの後を追う。


「おかしいなー、ここに置いたはずなのに」

目的のテーブルまで行くと、困ったように言った琴葉ちゃん。



「───っ!」

その瞬間、また昼間と同じように足元から感じる気配。



「んー、ここにないなら仕方ないか」

そっと足元を見ようとした時、残念そうな声が響いたから慌てて上げた顔。



迷い込んだ者は、災いをもたらす。

だとすれば、琴葉ちゃんが今困っているのも災いの1つなんじゃないかしら?






< 80 / 300 >

この作品をシェア

pagetop