xxxFORTUNE
「楼那さんは見つかった?」
「へっ?あ、えっと、」
どうしよう、もともと忘れ物なんてなかったし。
琴葉ちゃんは不思議そうに首を傾げてる。
誤魔化せなくて苦笑いを向けていると、さっきまでの気配が移動。
待って、このままじゃ迷い込んだ者に逃げられてしまうわ。
焦りが感情を支配する。
ど.どうしよう!
「楼那さん?」
何か適当に答えないと。
だけど適当って、どう答えればいいの?
「すずっ!?」
すっかり静まってしまった食堂に、突然の別の声。
琴葉ちゃんとあたしは、びっくりして扉のほうを見た。
「里音!?
どうしたの、そんなに息を切らせて」
カチッと電気を付けると、あたしたちの前まで来て
「恋千が…っ、すずが危ないって言って」
両手を膝について、肩を上下させながら話す。
「恋千くんが?」
「うん、迷い込んだ何かが何とかって」
えっと……なんだか話が大袈裟になってる気がする。