xxxFORTUNE



エシャルでは、一部使い魔として黒猫が存在する。

また、黒猫は不幸の象徴。

特別大きな魔力を秘めていると、授業で習ったことがあったわ。



あたしと目が合うと、慌てたように黒猫は窓のほうへ駆け寄った。

それから、光を放って窓が勝手に開いていく。


もしかしてあの黒猫、魔法を使ってる?



「待って!」

窓の前まで走ったけど、とっくに間に合わなくて。

逃げるように窓から飛び降りた黒猫は、一度もこちらを振り返らずに闇に溶け消えてしまっていた。


「きゃっ!」

直後、背中を押すようにすごい突風が吹いて───



窓の外へ放り出されたあたしは、目をぎゅっと瞑ったまま。

教室は2階、落ちれば怪我をするかもしれない。


だけど、どこも痛くないのはどうして?



ゆっくり視界を開けば、移るのは白い壁。

上を向く左手は、しっかりと誰かに掴まれてる。


それから、投げ出されてしまったあたしを引っ張り上げて。






< 85 / 300 >

この作品をシェア

pagetop