xxxFORTUNE
「重すぎんだよ、ったく、余計なことばっかしやがって」
肩で息をする愛琉さんは、いったいいつ学校に戻ってきていたのか。
すっかり放心状態で、床に座り込んだまま彼に送る視線。
大変、今の転落死未遂で腰抜けたかも。
「すずー!愛琉ー!」
そんなこともお構いなしに、外からはあたしたちを呼ぶ声。
「なっ、あいつっ…」
イライラ最高潮の愛琉さんが、窓から真下を見下ろす。
あたしはというと、力が抜けて立つことすらままならない。
挙げ句、さっきの件で窓に近づくのが怖い。
「てめーなっ、大声出したら見つかるだろーが!」
怒る愛琉さんに、続けて返ってくるのは
「さっき見回りの先生帰ったから大丈夫!」
マイペースな里音の声。
「ただ、学校の鍵閉められたみたいだから、どうにかして脱出して」
しかも、無茶な頼みまで言い出して。
ガンッと思い切り壁を蹴った愛琉さんに、あたしは身体を全力で震わせた。
「だ.大丈夫よ、あたしの魔法で脱出しましょう?」