xxxFORTUNE
★黒猫を追いかけて
「──ということで、今日は俺が一緒に行く」
翌日、全員で朝食のパンにかじりつきながら恋千くんは言った。
「えぇーっ、ズルいよ!
ぼくもヒメと一緒にいたい」
「ホタルはだーめっ、そもそもあんた外出れないじゃん」
恋千くんに言いくるめられている佐久間さんが、少しだけ気の毒だ。
「ここはやっぱりオレが」
「里音は昨日一緒にいたじゃん。
だから却下」
いったい、何の話をしているのか。
というか、事の始まりはあたしに原因があるような気が………
「なら、俺がいく」
「ダメダメ、愛琉も昨日一緒だったじゃん」
そう、たった今何をしているかというと、あたしと一緒に街へ出かける人を選んでいるわけで。
「ねぇ恋千くん、全員で出かけたらダメなの?」
「だからさっきも言ったでしょ。
大人数で出かけたら邪魔になるって」
なぜか全員は嫌と主張する恋千くんによって、選ばざるをえない状況に。
里音が言うには
「恋千はどうしても、すずと2人になりたいらしいよ」
だそうで。