希望という名のきみへ
「こんな短期間に浄化が行われるなんて信じられない!
じゃあ、わたし達がミテラの中で繰り返してきた、交配と雑食は無意味だったと?」
目の前の現実が全ての正当性を示していたとしても、自分の存在全てが否定されたに等しいこの状況に、素直に頷ける程、わたしは科学的な人間ではなかった。
「と、言うことになるかな。
全てはテラの意思だ。
我々はテラの意思に従ったまで。
その意思に反したのはお前達の方だ。
固体をそのまま摂取すれば、少なからず放射性物質を取り込むことになる。
生殖能力が衰えたのも、そのせいだろう……」
永遠達、新人類達は、わたし達より科学的だというのだろうか?
「あなた方はそこまでわたし達のことを理解していると?」
「おかしいか?
我々はテラの一部であるのに?」
そう言ってわたしに笑いかけた永遠の顔は、心なしか前に見たより、幾分いかつくなった気がした。