希望という名のきみへ


「女性になろうと男性になろうと、わたしの本質は変わることはない。

性とは、種の存続を図る交配の為にあるものなのだ。

わたしの本質は、愛だ。

その愛に触れるものが、性を決める」


永遠の言葉は、確信に満ちていた。


「わたしは、女性として生まれてきました。

子を産む性として、冷凍保存した祖先の精子を子宮に注入され、その義務を果たすよう求められました。

わたしの本質に愛という言葉はありません。

それは義務でした」


わたしの言葉は、事実でしかなかった。


「ミク、愛がなくては子は受胎されない。

只でさえ、固体数の乏しい種の中では、それは絶対条件なのだ。

何故だかわかるか?」


「いえ……」


「愛はエネルギーだからだ。

エネルギーとしての愛が受胎に関わった時、それは達成されるのだ。

言葉としての理解には限界がある。

ミク、これからその愛の源、我らの泉を見に出かけよう」


永遠がそうわたしに告げた時、わたしは彼の腕の中にいた。

そこにいるのは、恐らくもうほぼ完全に男性化した永遠で、その腕は逞しく力強かった。

わたしは、何とも言いようのない安心感に包まれ頷いた。


「ええ……

あなたと共に……」


永遠は今、わたしの中で永遠となった。
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