希望という名のきみへ


「愚かな……」


届いた声は確かに永遠のものだったが、わたしの横に彼の姿は無かった。

「トワ、何処?」

「わたしはお前の上だ」

見上げると、わたし達が身を隠した崖の遥か上、陽を浴びて光る金髪の永遠がいた。

この距離で、彼の声がここまで届くとは思えない。

「わたしは今、太陽と山の位置から、泉の位置を正確に読み取ったところだ。

あの核爆発からこの方、地球の磁場は大きく歪められてしまった。

迷い込むと大変なことになる」

言葉が通じる、と短絡的に考えていたわたしの考えは見事に否定された。

わたしが永遠の声と思っていたものは、彼の意思に他ならなかった。

彼の声は直接わたしの心に届いていたのだ。



これも母なるテラの思い描いた形なのか?
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