希望という名のきみへ
永遠が背負った荷物の中から取り出したのは、目も覚めるような輝く白い布だった。
「この薄い布で?」
確かにその布は美しくはあったが、その向こうが透けて見えるほど薄く頼りなげだった。
「これは、蜘蛛の糸で織った布だ。
固く、しなやかで、水を通さない。
そして、この布は紫外線や赤外線を遮断する。
つまりある一定の周波数帯の光を通さない。
更に、一番重要な点は、この布は空気の80%を遮断することができる」
「つまり、酸素だけを通す、ってこと?」
「さすが、呑み込みが早いな。
我々は、生まれて成人するまでに、蜘蛛の糸を紡いでこの布を織る。
この布は、我々がテラの大地をウォークアラウンドする為に必要不可欠なものなのだ。
『シールドスキン』
我々はこの布をそう呼んでいる。
そして、生涯、命よりも大切にするのだ」
「命よりも……」
その言葉の重みを、その時のわたしはまだ良く理解してはいなかった。