希望という名のきみへ


永遠の姿が滝の奥に消えた。

打ち据えられそうな勢いの水飛沫に視界を遮られ、わたしの足はすくんだ。


――わたしは試されている。


ひとり残されたわたしの背後からは、野犬の鳴き声が間近に迫っていた。

仲間の肉を食らって、更に血気に逸った彼らの鳴き声は、勢いを増していた。

決断の時は迫っていた。


――食われて死ぬくらいなら、永遠を信じて前に進む。


わたしは意を決して、身体を前に進めた。
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