希望という名のきみへ


滝の裏側には小さな祠があり、その奥に垂直に伸びた石の梯子が掛かっていた。


「この石の梯子は、我らの先祖が命を削って造ったものだ」


岩肌を削り掘り出されたその梯子は、気の遠くなるような長い年月をかけて造られたに違いない。

わたしはその言葉の重みを噛みしめながら、一段一段登っていった。


梯子を登りきった更にその先は、横穴へと繋がっているようだ。

真下には、轟音を響かせて流れる滝の音が聞こえる。


「ここから、滝の上に出る」


先に上がった永遠が、わたしに手を差し伸べた。

迷わず彼の手をとったわたしを、永遠は軽々と引き上げた。



狭い横穴は僅かな傾斜をもって上へと伸びていた。

滝の轟音を腹の下に感じながら、わたしは永遠の後を追って狭い穴を進んだ。


光だ。


穴の先に光が見えた。


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