希望という名のきみへ
生身
そこは甘い香りの漂う不思議な空間だった。
冷たい岩肌を這って進んできたからだろうか。
着ている服を全て剥ぎとってしまいたくなるような蒸し暑さ。
足元を覆う、柔らかい苔。
「ここは地熱で温められている。だから植物の生育も早い」
「暑い……」
わたしはその時、自分の纏ったスキンスーツの存在に気が付いた。
今まで意識したことさえ無かった、身体を守るスキンスーツ。
ミテラの外へ吐き出された衝撃から身を守ったのも、降り注ぐ太陽からの紫外線を防いでくれたのも、確かにこのスキンスーツの筈だった。