希望という名のきみへ
だからと言って、このままではあまりに無防備だ。
わたしに羞恥心という概念は無かったが、防衛本能はまだ残っていた。
「代わりにこれを纏うといい」
そう言って永遠に渡された布を、見様見真似で身体に巻きつけてみる。
だが、二次元の布を三次元である身体に纏うことは案外難しかった。
わたしは途方に暮れた。
「こう纏うのだ」
見かねた永遠が、わたしの手から布を奪った。
永遠は器用にわたしの身体に布を巻きつけていく。
大きく膨らんだ胸元を優しく包み込み、肩で大きく結び目を作った。
永遠の手の温もりを感じたのは初めてのことだった。
「これで腰を縛るといい」
永遠は手近な木から下がる蔦を引き、器用にしごいて葉を落とした。
渡された蔦を手にわたしはまた途方に暮れる。
「地球人とはやっかいな生き物だな」
放たれた言葉とは裏腹に、永遠の手が優しくわたしの腰に回った。
「こうして結ぶのだ」
出来上がったわたしの姿を見て、永遠は満足したように頷いた。
「腹が空いてると思うが、食事は日が昇ってからにしよう。子供たちも起きてくる」
確かにお腹も空いてきた。
スーツを纏っていた時には、めったに感じたことのない空腹感。
だが……、それよりも。
「子供……」
わたしは永遠の話していた、泉に育てられる子供たちのことを考えていた。
わたしは母性に目覚めつつあったのだ。