希望という名のきみへ
受胎
子供たちの騒ぎ声と、甘酸っぱい果実の香りに包まれ、わたしも無心で実を頬張った。
食べ物が美味しいと感じたのは初めてだ。
気が付くと、子供たちの声が止んでいた。
見ると、池の周りの苔の生えた岩の上に、子供たちが大の字になって寝転んでいる。
こんな無防備な生活が、ここでは許されているのかと不安になった。
「トワ?」
わたしの問いかけに、大きな影が起き上った。
「ミクどうした、まだ食べ足りないのか?」
わたしの不安を見てとった永遠が、からかいの言葉を投げてきた。
その声に安堵し、わたしは思わず空を見上げた。