希望という名のきみへ
「残念だが、子供は流れた」
永遠の言葉は冷静だった。
「自然の摂理だ。テラが望めば次がある」
そう言って、永遠はわたしを抱きしめた。
「それでも産みたかった……」
それはわたしの心からの願いだった。
子を宿した時に感じたわたしの母性がそう願ったのか。
永遠との愛を失うことが怖くてそう願ったのか。
泣いて過ごすわたしの傍に、永遠は静かに寄り添った。
永遠がいれば、子はまた授かる。
そう考えると、わたしの悲しみも少しずつ和らいでいった。
わたしはまた立って食べ物を取りに歩けるようになった。
また永遠と交わることができるようになる。
その時が待ち遠しかった。
だが、わたしの思いとは裏腹に、永遠はそんなわたしを見て、安心したように諭したのだ。
「ミクは女だ。
これからはこの泉の守り人となれ。
我ら新人類はこの泉に留まることはできないのだ。
わたしも近いうちにここを出る」
「えっ?」
わたしは驚きを隠せず大きな声をあげた。