希望という名のきみへ
「ダイチを頼む」
そんなわたしの気持ちを押し留めるように、永遠はわたしに使命を課した。
わたしは永遠の向く視線の先、水辺で一人しゃがみ込む小さな子供の姿を捉えた。
「ダイチはお前と同じ地球人だ。あの子は我らと違って成長が遅い。
姿は女。だが心は他の子と同じように男になろうとしている。
性が固定されて生まれるとは不自由なものだな。
我ら新人類にはあの子の悩みや苦しみを共有する術がない。
だが、お前なら……」
わたしに子供の相手など出来るわけがない、と思った。
今まで子供というものを見たことさえなかったのだ。
我が子を持ったことのないわたしに、同じ女というだけで、何か出来るとは思えなかった。
それより何より、今は永遠を失うことの方がわたしにとっては大きな問題だった。