希望という名のきみへ
次第に覚醒していく意識の中、わたしは改めて隣人を眺め見た。
「助けてくれてありがとう。
あなたは地球人ではないのか?
百年前の爆発で、テラは人類の住める環境ではなくなった筈だ。
何故あたは生きてここにいるのか?
他にも生き残った者達がいるのか?」
わたしの抱いた疑問は当然のことだった。
わたしはミテラでそう教育されて育ったのだ。
だが……、
彼女はわたしを哀れむように見つめると、まるであざ笑うようにこう言った。
「この状況が呑み込めないのは当然だ。
お前達は、自分達こそが選ばれし者と思っているだろうが、それはどうかな。
我々は、母なるテラによって造り変えられた新人類だ。
お前達とは種が違う」
「な、なんだと?!
見たところ、姿形は同じに見えるが……」
「我々は両性具有なのだ」
「あなたは女性に見えるが?」
「それはつい数年前、わたしが女性として子を生んだことがあるからだ。
男性として交わる必要があれば、わたしは男性となる。
一人孤立すれば、わたしはわたし自身と交わって子を宿す」
「そ、そんな馬鹿な?!」
永遠の話は俄かには信じがたいものだった。
彼女の存在そのものが真実の裏づけであったとしても。