希望という名のきみへ
大地
大地は他の子供とは少し違っていた。
どこが違うのか、と聞かれると答えに詰まるが、その仕草がどことなくぎこちなかった。
他の新人類の子供達は、そつなく動き、迷いがないように見えた。
大地は一つ一つの動作が、それを確かめるようにゆっくりで、それ故ぎこちなく見えたのかもしれない。
考えてみれば、それも納得のいくことだった。
新人類の子供達は泉からテラの全てを伝えられていたのだ。
自分達がその一部であり、ここでは守られた存在であることも恐らく承知の上のことなのだ。
それはわたしがミテラで感じていたのと同じ感覚。
自分の存在を疑うことのない、安心感のようなものだろう。
大地の不安は、ミテラを離れたわたしには良くわかる。
それは、切り離された不安。
自らが息づく、その息さえも、その意味を求めて喘いでいた。