希望という名のきみへ
「ダイチ」
ある日、わたしはその名を声に出して呼んでみた。
『名は、その者に対する尊厳であり、そのものである』永遠の言葉を思い出したのだ。
驚いたことに、わたしの呼び掛けに大地が応えた。
「あなたは誰?」
そう問いかけながら、大地はわたしに向かって近づいてきたのだ。
「わたしはミク、あなたと同じ地球人よ」
「あなたは女性なの?」
「そう」頷くと、直ぐに強い口調が返ってきた。
「不完全だ」
その言葉は、まるで自分を貶め、その存在を否定しているように見えた。
両性具有の仲間の中で只一人、女性であることへの劣等感。
それほど、大地の表情は暗かった。