希望という名のきみへ


「何故そう思うの?」


わたしはなるべく冷静に大地の気持ちに向き合おうと試みた。


「僕には、チンチンが無い」

「それは、あなたが女性だからでしょう」

「ハクにはある」

「それは、ハクが男性だから」

「でも、みんなには両方ある。やっぱり僕は不完全だ」


「ダイチ、それはわたし達地球人と新人類の種の違いなの。

あなたは女性として完全であればそれでいい。

わたし達地球人は男性と女性で種を成すものなのだから」


それは、わたし自身にも向けられた答えだった。


「でも、他の兄弟はみんな両方ある。僕だけ違う」


わたしはそこで言葉に詰まってしまった。

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