希望という名のきみへ
言葉が通じることが、僅かな救いである、とわたしは考え始めていた。
わたしの発する問いに、少なくとも彼女が答えを返してくれるのだから。
だが、矛盾もある。
そもそも両性具有の繁殖に、種の未来が託されているとは信じ難い。
優性遺伝の法則は無視されたというのか?
それ程までに、我ら人類の存続は危ういということなのか?
言葉は理解の上に成り立つ情報伝達手段だ。
理解のないところに意思の疎通は成り立たない。
わたしは、この宇宙永遠という新人類の発した言葉を無視することにした。
「何故そう言い切れる。
愚かな者よ。
これが母なるテラが望んだ形なのだ。
産み落とされた子は、母なるテラの泉が全てを担い育てるのだ。
我々は生まれながらにして、平等であり兄妹である。
母なるテラの元で……
母なるテラに見守られて……」
それはまるで、わたしの心を読み取った上での言葉だった。
何故、彼女はわたしの疑問に答えをよこしたのか。
永遠が語りかける声に戸惑いながら、わたしの意識は薄れていった。
恐らく、わたしにの身体は回復の為に、更なる眠りが必要だったのだ。
「ミク、眠るのだ。
全てはお前が目覚めた時に明らかになる」
遠い意識の中で、永遠の声が木霊していた。
「母なるテラは、お前を受け入れた……」
それは、わたしがここで生きるという意味なのか……