希望という名のきみへ
彼らは迅速かつ慎重に選別しながら、蜘蛛の巣を巻き取っていく。
大地はまだ小さいので、なかなか蜘蛛の巣を見つけられなかった。
蜘蛛の巣はたいてい、少し高い位置にはられているものなのだ。
見つかったとしても、低い位置にある巣はどれも小さい。
同じ時期に生まれた永遠の子空はもう大地の倍の背丈があり、彼は大木によじ登り、見つけた蜘蛛の巣をいくつも棒に巻き取っていた。
そしてねぐらで彼らは糸を紡ぐ。
巻き取った蜘蛛の糸を器用に手で撚りながら一本の糸に紡いでいくのだ。
空のねぐらには大きな糸巻がいくつも出来上がっていた。
「これが十たまったら、機織りを始める」
そう空は言った。
大地のねぐらには、まだ糸巻は二個ほどしかたまっていない。
成人までの月日が倍も違うことを思えば、それも当然の成り行きなのだろう。