希望という名のきみへ
――嗚呼、良かった……
安堵のため息をつく時間も惜しんで声を荒げた。
「ここも危ないわ。早く洞窟へ逃げるのよ!!」
わたしは大地を手繰り寄せ、その身体を背に負った。
「走るから、しっかり掴まって」
わたしは必死だった。
この泉へと導いてくれた滝の上の洞窟を目指して走った。
途中、逃げ惑う子供の手を引き、叫んだ。
「逃げるのよっ!」
わたしの必死な声に、何人かが従った。
その間も、ミテラから放たれた赤い光は、容赦なく泉の周りに降り注ぐ。
後ろを振り返る余裕などなかった。