希望という名のきみへ
ミテラが武装していたとは信じ難い。
だが、あれは紛れもない武器、レーザー光線だ。
確かに、ミテラにはシェル補修用のレーザーが備わっていた。
まさか、それが外に向けて放たれるとは……
ガラスを溶かし、溶接するのに使われていたレーザーが、使いようによっては殺人兵器に成り代わるとは考えもしなかった。
それを言うなら、マザーコンピュータのバックアップ電源としてミテラの中枢にある、水素電池も爆発したなら相当の威力があるだろう。
――わたしが見た、あれは第三ミテラ?
それとも音信不通の2つのミテラのひとつ?
わたしがいた第三ミテラには、まだ生き残りがいた筈だ。
彼らがわたしを探して、移動してきたのだろうか?
ミテラは常に、WGS-84座標(db12.02,dl-11.09,dh38.2)を維持するようにマザーコンピュータによって制御されていた。
コンピュータの故障?
制御不能に陥った、巨大な兵器と化したミテラを止める方法があるのだろうか?
太陽が降り注ぐ限り、エネルギーに終わりはない。
だが、座標を離れた今、ミテラには夜が襲いかかる。
バックアップ電源に切り替わる、その間が反撃のチャンスだ。
だが……、どうやって?
わたしは走りながら、この殺戮を止める方法を考えていた。
ミテラに庇護されていただけの私が、いくら考えたとて、答えなど見つけられる筈がなかったのだけれど。