希望という名のきみへ


ミテラが武装していたとは信じ難い。

だが、あれは紛れもない武器、レーザー光線だ。

確かに、ミテラにはシェル補修用のレーザーが備わっていた。

まさか、それが外に向けて放たれるとは……


ガラスを溶かし、溶接するのに使われていたレーザーが、使いようによっては殺人兵器に成り代わるとは考えもしなかった。

それを言うなら、マザーコンピュータのバックアップ電源としてミテラの中枢にある、水素電池も爆発したなら相当の威力があるだろう。


――わたしが見た、あれは第三ミテラ?

それとも音信不通の2つのミテラのひとつ?


わたしがいた第三ミテラには、まだ生き残りがいた筈だ。

彼らがわたしを探して、移動してきたのだろうか?

ミテラは常に、WGS-84座標(db12.02,dl-11.09,dh38.2)を維持するようにマザーコンピュータによって制御されていた。

コンピュータの故障?


制御不能に陥った、巨大な兵器と化したミテラを止める方法があるのだろうか?

太陽が降り注ぐ限り、エネルギーに終わりはない。

だが、座標を離れた今、ミテラには夜が襲いかかる。

バックアップ電源に切り替わる、その間が反撃のチャンスだ。


だが……、どうやって?


わたしは走りながら、この殺戮を止める方法を考えていた。



ミテラに庇護されていただけの私が、いくら考えたとて、答えなど見つけられる筈がなかったのだけれど。

< 87 / 99 >

この作品をシェア

pagetop