希望という名のきみへ
「一週間ほど前から第三ミテラが不穏な動きをしていた。
通常ミテラは同じ座標を維持するよう運行されている。
それが動いたのだ。
第一ミテラと第二ミテラは既に生存者無く崩壊している。メンテナンス不良で、予備の水素電源も落ちた。
今、二つのミテラは海の底だ」
彼は淡々と話しだした。
「海の底……
ハク、あなたが逃れて来たのはどのミテラですか?」
「俺は第一ミテラから逃れてきた」
「では、あなたの故郷は海の底なのですね」
「あれが故郷というものならな。
だが俺はミテラを認めない。あれはリヒテンシュタインに作られた虚構だ。
それより今は、第三ミテラの動きを封じなくてはならない。
何故ミテラが泉を攻撃しているのか?
その標的は何なのか?
恐らくそれはお前に関係がある」
「わたしに?」
彼の青い目が深くわたしを見つめた。