希望という名のきみへ
「もしかして、お前は新人類の子を宿したのか?!」
「……」
白夜の険しい面持ちに、わたしは言葉を失った。
それが、この非常事態の発端だというのだろうか?!
「リヒテンシュタインの妄想は、自らのクローンと自らの遺伝子を受け継ぐ子孫たちのコロニーを形成することだった。
だが彼は歳を取り過ぎていた。
最初の数年は、彼の精子で受精した子供が何人か生まれた。年を経るごとにその受精率は低まり、やがて不可能となった。
そこで彼は地上に置き去りにした人類の中から優秀なサンプルを取ることを思いついた。
彼らの精子に遺伝子操作をし、自分の遺伝子を組み込むことを考えたんだ」
「わたしがミテラで試みられていた受精は、その作られた精子だったのですか?」
「それはあくまで妄想に過ぎない。
何億個もある精子一つ一つに遺伝子操作を施すほどの時間も能力も奴にあるわけがなかったのさ。
だから生まれた子供は、男と女に分けられ、女は生殖の道具として、男はその性質を見極め精子を取る道具として生かされた」
「生かされた……」
わたしが今まで抱えてきた疑問が解けた。