希望という名のきみへ
「俺は、とち狂ったマザーコンピュタのバグの中からその事実を突き止めた。生育カプセルの中でな。
だから、逃げる機会をずっと伺っていた。
成人して精子を採取したら殺される。それがわかっていたからな」
「殺される……」
「不純分子は排除する。マザーコンピュータはそうプログラミングされている。
恐らく、女の身体には何らかのセンサーが埋め込まれているのだろう。
お前が新人類の子を身ごもったことが、そのセンサーを通じてミテラのマザーコンピュータに伝えられた。
だから、お前とその子を排除しようと、ミテラが攻撃に出たんだろう」
「わたしを排除する!」
わたしは驚きのあまり叫んでいた。
やはり、あの赤い光はわたしを狙って放たれたものだったのだ。
「で、子は?」
「流れました……」
「そうか……
だが、お前はまだ生きている。
そしてこの泉にも、住まうものの命がある。
第三ミテラを破壊しなければならない」
白夜ははっきりと言い切った。
「今夜襲撃を決行する。お前も一緒に来てもらうぞ」
わたしは小さく頷いた。
それ以外に選択の余地はないとわかっていた。