希望という名のきみへ
白夜については来たものの、成す術も無く途方に暮れた。
「わたしは何をすれば良いのか?」
やっと声をあげたわたしに、白夜は作業の手を止め話し始めた。
「お前にはわたしと一緒に第三ミテラに進入してもらう。
お前の認証があれば、非常用ハッチも開くだろう。
たとえ今、ミテラ攻撃目標がお前の位置座標だとしても、マザーコンピュータ自身にお前の存在を削除する権限はない筈だ。
いくつか確認しておきたいことがある。
第三ミテラに、お前の他に生存者はいるのか?」
「確か一人。N0.10がいたはずだ」
「推定年齢は?」
「恐らく50台」
「ということは、お前の他に生殖能力のある地球人はいなかったということか……」
マズイな、と白夜は呟いて無言になった。
わたしの中に不安を残したまま、白夜は黙々と進入の準備を続けていた。