希望という名のきみへ
準備を粗方終えると、白夜が顔を上げた。
「ミク、進入の手順を説明する。
一度しか言わないので、質問はその都度端的に頼む」
「はい」
わたしは緊迫した状況を察して頷いた。
「このホーガンでワイヤーロープをミテラの非常用進入口に繋ぐ。
俺がまず先に行き、着いたら上からお前を引き上げる」
「了解」
「非常用ハッチはお前の認証で開く筈だ。
その後は集中制御室へ直行する。
案内を頼む」
「生存者に遭遇したら?」
「殺す」
「N0.10が我々を攻撃してくると?」
「それは問題ではない。恐らく彼女は無抵抗だろう。
だが、お前がミテラの最後の生き残りで、未知の敵襲を受けたとしたらどうする?」
「ミテラを爆破する」
わたしは自分の出した反射的な答えに驚いて、口元を押さえた。