恋愛パラドックス

最後のＨＲだけを残した教室で

突如、ピリリッと携帯が鳴った。



待受を覗けば

着信『赤城美音』





（まだ学校にいる時間なのに、珍しいな…）





「てっぺぇ、電話誰からぁー？」



携帯を見ながらボーっと突っ立つオレに、取り巻きの女子の１人が猫なで声で聞いてくる。



「うっせぇな、お前らには関係ねぇだろ」



それをシッシッと犬を追い払うみたいな仕草で女子たちをどかし、教室の窓際の隅へ移動した。





美音から、学校にいる時間に電話がかかってくるなんて珍しい。



何か話があるときは決まって夜。

昼間の電話は待ち合わせをしてる時くらいだ。

もちろん今日は、何も待ち合わせてはいない。



ちょっと不安になりながらもピッ、と通話ボタンを押した。





「もしもし？どうしたぁ？」



ホントは嬉しいのに、ダサイから平静を装う。



「もしもし徹平？もう出るの遅いよー」



電話に出るのに時間かかってしまった為からか、美音はまたイライラしていた。

べつにワザと焦らしたわけじゃないけど、悪くはない(笑)





「今日…、会えないかな？」



「はっ？何で？」





美音からの突然のお誘いに

ヤベェ！顔がにやける。





＊